百田尚樹 『カエルの楽園』 レビュー
ごきげんよう、ダイナです。
今日は最近話題の、百田尚樹氏作『カエルの楽園』のレビューをしていくよ。
百田尚樹氏の代表作には『永遠の0』があるね。
この本はシンプルに小説としておもしろい。泣けるポイントがたくさんある。
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映画もよかった。
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ただ、この『カエルの楽園』は話題作、いや、いわば問題作と言えるだろう。
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真剣に考察を書こうとするとかなりシリアスな内容になってしまうと思うから、一般的に共通するであろう解釈を書いていくことにする。
(以降は解釈のため、筆者の意にそぐわない可能性もある。ただ、筆者の日常的な言動からしたらおおむね合っているだろう。)
この小説では人間世界がカエルの生活圏に例えられている。
特に日本とそれを取り巻く近隣諸国の(筆者が考える)現状が描かれている。
例えば以下のような感じ。
ナパージュ=日本
三戒=憲法9条
スチームボート=アメリカ(軍)
このほかにも(筆者の主張を知っていればそうとしか思えないように)すべての登場人物や状況が現日本の比喩になっている。
ただ、ひとつ言えることは、人間はカエルではないということだ。
理系の僕からしたら、生物という点ではカエルも人間も同じと言いたいところではある。
しかし、類人猿さらには人類には社会的な生活を営むだけの知能があり、単純にカエルと比較することはできない。
特にこの小説のように、他のカエルたちの縄張りに踏み入り食料にしてしまう単なる食欲による野生の生物的な活動は人間にはもちろんない。
したがってこの小説は、人間世界をカエルのような生物活動による捕食を行う生き物に例えることで、筆者の主張をより過激に、よりセンセーショナルに読者に植え付けようという考えが垣間見える。
さらに僕が感じた違和感は、これが人間世界の比喩なら(ほとんど確実にそうなんだが)、他の国の住人を違う種類のカエルにするか?ということだ。
まあ小説として分かりやすくはあるが、人間の世界に至ってはもっと複雑だ。
別の国に住んでいたり肌の色が違っても同じホモサピエンスなんじゃないかな。。
ここでも過剰な民族意識や愛国心をあおる意図が感じられる気はする。
それぞれ考え方の異なる著者の本を読むなり意見を聞くなりして、一度ニュートラルな状態に自分を持っていってから自分の意見を持つことが理想的だと思う。
ただ、実際僕はこの本を一日で読み終えたし、かなり読ませる本ではあった。